
国内では、特に「農機メーカー」として広く知られているクボタ。しかし、その内実は、ここ数年で大きな変貌を遂げている。急速に拡大した海外ビジネスが、規模において、国内ビジネスを凌駕しつつあるからだ。
クボタの総売上高の中で海外売上高の占める割合は約4割(図3参照)。特に、クボタの事業の大黒柱である機械事業本部を見てみると、今やその約6割が海外売上高となっている(すべて連結ベース)。こうした数字からも明らかな、海外における躍進。その突破口となったのは、クボタ独自のきめ細やかな市場ニーズへの対応だった。
たとえば、クボタは広大な海外市場においても、開発部門・営業部門の担当者たちが自らの足で市場をサーベイし、結果を分析し尽くすという徹底したマーケティング活動を精力的に展開。米国市場における小型トラクタというのは、農業用というよりむしろ、家庭の敷地管理(草刈り・軽土木作業)や趣味の農業など個人用の機械として販売されている。クボタは、この米国内のメーカーも見過ごしてきた市場を探り当て、小型トラクタ市場をリードし続けてきた。
またクボタは、全米にトラクタや建機の緻密な販売網を構築してきた。この販売網を活用し、日本で馴染みのあるトラクタや建機だけでなく、乗用芝刈機やユーティリティービークル(UV/多目的四輪車)など独自性あふれる製品を次々に開発し、市場に投入して、品質、機能、価格、デザイン、アフターサービスなど、あらゆる面でユーザーの高い支持を獲得してきた。
現在、クボタは、「さらなるグローバル化の加速による成長」と「内なるグローバル化」による体質強化を推進しており、中期経営計画においても、世界メジャーブランドを目指して積極果敢な目標を掲げている。
今や、米国での営業利益額は、大手ひしめく日系メーカーのなかにあっても第8位※。海外におけるクボタブランドの浸透度も、上昇の一途をたどっている。
※)会社四季報(2006年1版)より弊社調査



1972年、米国カリフォルニア州に、販売拠点となるKTC(クボタトラクタコーポレーション)を設立。独自のディーラー網の整備に注力し、米国内に1000以上のディーラーを擁する強力な販売網を築き上げてきた。生産拠点としては、1988年にトラクタ用インプルメント生産のため米国ジョージア州に設立されたKMA(クボタマニュファクチュアリングオブアメリカ)が、小型トラクタや乗用芝刈機やユーティリティービークルの生産拠点へと発展。2004年、北米第2の生産拠点KIE(クボタインダストリアルイクイップメント)も完成し、北米・欧州の旺盛な需要に応えている。
今では、オレンジ色のクボタ・トラクタは、一種のステイタスシンボル。クボタの技術力への高い評価とあいまって、製品そのものが「ブランド」化し、市場浸透力はなおも高まりつつある。今後の目標は、「世界最大級のプレゼンスを有する、ベストトラクタカンパニーへ」。すでに、40馬力以下の分野で米国市場40%以上のシェアを築き上げたトップメーカーとしての実績を活かし、40〜100馬力のクラスでも、米国市場トップ奪取を射程の範囲に捉えようとしている。

1970年代に欧米にて販売開始し、1997年、米国イリノイ州に、エンジン専用の販売・サービス拠点となるKEA(クボタエンジンアメリカ)を設立。欧米において、主力とする小型ディーゼルエンジンの、用途に応じた仕様変更や技術的な対応なども行うディストリビューターを組織化し、小型エンジン市場における、世界トップシェア(註:PSR調べ2005年データ)を獲得してきた。トラクタに続き、このエンジンの分野でも示された強力な販売網構築力は、クボタが誇るマーケティング力の源泉をなすものだ。開発競争においても、厳しいアメリカの排ガス規制をいち早くクリアするなど、常に一歩先行。乗用芝刈機やユーティリティービークルはもちろん、多種多様な産業機械などに用途を拓き続けている。今後も、高度なマーケティング力、技術力を背景に、「小型産業用ディーゼルエンジン世界No.1の地位堅持」を追求していく。

主力製品は、小型油圧式ショベル、ミニバックホー。
主に配管、ケーブル埋設や造園など地面の掘削や、建物の解体作業などに使われる。
最大市場であった日本市場に代わり、2000年頃からは海外市場、とりわけ欧州における需要が加速した。
クボタは1979年から海外進出を開始し、1988年にはドイツに生産拠点となるKBM(クボタバウマシーネン)を設立。
優れた製品、技術、製造力を武器にしたマーケティングで早くから強力なディーラー網を築いてきたことが功を奏し、1998年以降、欧州No.1の座を確固たるものとしている。
また、ここ数年で成長する米国においても、トラクタで築いた広い販売網を活用し、着実に販売を伸ばしている。
2002年のミニバックホー販売台数は念願の世界NO.1を達成し、それ以来、このNo.1の座を他に譲ったことはない。
今後は東欧や中国など、これからニーズが高まるであろうと予測される地域にも進出。
「ミニバックホー世界No.1ブランドの確立」に向けて、建設機械事業部の躍進は続く。

中国をはじめとするアジアでは、いわゆる「賃刈り業」という収穫業請負業者が存在する。大型コンバインで他人の田を収穫し、収入を得るのである。彼らが必要とするのは、高性能、耐久性、サービス網。そのすべてを満たしたクボタのコンバインが、中国市場で大きなシェアを占めつつある。市場ニーズの高まりを受け、1998年に中国でのコンバインの生産拠点となる久保田農業機械(蘇州)有限公司を設立。2006年には新工場を設立し、コンバイン※No.1の地位を揺るぎないものにしようとしている。
※自脱形コンバイン